オリーブの歴史
オリーブはモクセイ科の常緑樹です。
春ごろになると小さな白い花がいくつも咲き、夏~秋にかけてオリーブの実が成長し、晩秋~冬には収穫されます。
収穫後は、オリーブオイルや新漬けなどになって、皆さんの食卓へ上がります。
さて、このオリーブですが、いつ、どこからやってきたのでしょうか?
オリーブの歴史を紐解くにあたって、日本国内、そして世界へ目を向けてみましょう。
まず、日本国内おいて、現在(2020年)の時点では、九州、四国、中国、関西、中部、関東、その他の細かな栽培地域も含めると、日本の広範囲で栽培が行われつつあります。
日本におけるオリーブの歴史が長いのが、香川県の瀬戸内海ある小豆島です。ここでは、100年以上の栽培の歴史があり、毎年多くの人がここを訪れています。
そして、その小豆島も海外からオリーブの樹をもってきて植えたことが始まりでした。
では、海外のオリーブの歴史はどうでしょう。
現在のオリーブ生産国は、スペインやチュニジア、イタリア、ギリシャ、トルコなど地中海沿岸の国々を中心に広がりを見せて、果てはアメリカ、チリ、アルゼンチン、オーストラリア、アジアでは日本、中国などでも栽培が行わています。
実は、オリーブ栽培の歴史は、ヨーロッパの歴史と密接な関係があります。
冒頭に書きましたが、そもそもオリーブの栽培はいつか、どこから始まったのか、それは大昔の小アジアやシリアの方面から始まったといわれており、その後、トルコ、ギリシャを経由して地中海北側沿岸のヨーロッパ、シリア、ヨルダン、イスラエルを経てエジプト方面へ拡がったとされています。
これらの文明の中では、ほどなくオリーブは「通貨」としても扱われるようになりました。
そして、キリスト教やイスラム教、ユダヤ教などの聖書や経典にも描かれ、壺やフレスコ画、モザイク、銀器などの芸術のモチーフとしても取り上げられるようになりました。
オリーブは歴史の中で人々の生活に欠かせない、また大変貴重なものとされていましたが、華やかさばかりではありませんでした。
文明が衰退し、神聖ローマ帝国が拡大する時代に入ると、戦争や内戦によるオリーブ栽培・収穫も下降線をたどっていきます。
そうした中、中世の暗黒時代を乗り越え、13世紀に入るとオリーブの栽培は修道院にて復活しました。
最初は、修道院の灯明のためにオリーブオイルが作られ、徐々にその用途を拡大させていき、ルネッサンス文化の大頭と共にオリーブの栽培とオリーブオイルの製造が普及しはじめ、多くの人がそれを食すことができるようになりました。
近代になって、オリーブオイルの生産は一気に増大し、技術の発展により、機械的工業的生産が可能となり、その生産量は飛躍的に高まることとなりました。
最近においては、オリーブオイルの栄養価や健康への効果なに着目されるようになり、科学的に検証する学問が発達しました。
紀元前から現代に至るまで、華やかな時代、暗雲立ち込める暗い時代など、約8000~1万年もの長きに渡る歴史を積み重ねてきたオリーブ達。
こうした時を経て、美味しいオリーブオイルとして、私たちの食事に豊かな彩りを与えてくれる貴重な存在の一つです。
※日本オリーブオイルソムリエ協会発行資料を一部抜粋
おしまい